伊藤礼さん

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。(寝正月をしていました)

さて昨夕、ひょっこり伊藤礼氏が訪ねて下さいました。伊藤礼氏は英文学者で翻訳家、そしてエッセイスト。敢えて付け足せば文芸評論家・小説家の伊藤整氏の次男で、御年77歳。私の高校の先輩でもあります。1月2日に車で東京を出て、浜松経由で南信州の「秋葉古道」周辺でこの時期に行われる国指定重要無形民俗文化財「花祭り」を幾つかご覧になっての帰途に寄って下さいました。このお祭りは夜中まで続くとのことで、ワゴン車に布団を積んで仮眠を取りながらの旅で、散々大病を患われた七十七翁とは思えぬ元気さでした。夕食後は「花祭り」の様々なお話しを聞くことが出来ました。同じ長野県と言っても縦に長い県のこと、このような国指定重要無形民族文化財が南信に残っていることすら知りませんでした。

また、今日は伊藤礼氏が学生時代に療養した「旧富士見高原療養所」を訪ねました。当時は「死の病」だった結核病のサナトリウムで、その病棟の一棟が保存されています。丁度伊藤礼氏が使っていた病室や畳のベッドもあり、旧富士見高原療養所資料館長の荒川じんぺい氏が寒い中、ずっと説明して下さりました。ここで療養していた竹久夢二・堀辰雄・横溝正史・呉清源・伊藤礼・岸田衿子等々、多くの文人の資料や写真も展示されています。この建物は老朽化の為、来年3月には解体された後、床材や壁材、階段などを生かした形で病室が再現保存されるとのことでした。

伊藤礼氏の著作について。「伊藤整氏奮闘の生涯」「伊藤整氏こいぶみ往来」「狸ビール」「まちがいつづき」「パチリの人」「こぐこぐ自転車」「自転車ぎこぎこ」、その他翻訳が多数あります。「狸ビール」で講談社エッセイ賞を受賞されていますが、その洒脱な文章の面白いこと。「伊藤整氏奮闘の生涯」「伊藤整氏こいぶみ往来」では故伊藤整氏の人間像が、「狸ビール」は鉄砲撃ちをしていた頃の話し、「パチリの人」は文壇囲碁クラブの面々と中国各地で現地の人々と囲碁の対戦をして回る話し。そして「こぐこぐ自転車」と「自転車ぎこぎこ」は定年間近になってから乗り始めた自転車にどんどんのめり込んで?各地をツーリングするお話しで、これを読むと今直ぐにでも自転車に乗りたくなる本。そして年内にはもう一冊自転車ものが出版されるとのことで、今から楽しみです。楽しい二日間をありがとうございました。

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