田舎でJAZZライブ すったもんだの記 Vol.1

 


数年前からこの地で一流のJAZZを生で聴きたいと思っていた。特にモダン・ジャズ、それもフリー系のJAZZが聴きたい。たまに東の都に上った時にライブ・ハウスに行くこともあるが、殆どが仕事の都合に合わせての上京であるからなかなか聴きたいライブ日程とは合わない。

そこでワタクシも一応は会員である富士見町の某JAZZ好きの集まりに(年に一度、東京から毎年同じバンドを呼ぶが、ディキシー中心というか・・・ま、飲み会である?)、「たまにはモダンJAZZの一流の人を呼ぼうよ」と問いかけたのだが「一流のプロなんてこんな田舎に来てくれない」だの「モダンJAZZ好きなんて富士見にはいない」だの「連絡方法を知らない」だの「お金がない」だの「会場がない」だのと、例の田舎人の逃げ腰である。「じゃ、俺に任せろ」と啖呵を切って一応のOKが出た・・・らしい。(当日の某JAZZ好きの会の集まりには所用で欠席しているので知らんが・・・)

ま、OKなんてったて別に会から金が出るわけでもない。

先ずは誰にお願いするかであるが、ムスコに「お前が頼める最高の人に頼んでくれ!」と電話すると「う〜む、時々セッションに入れてもらっている林栄一さんや清水くるみさんなら頼めるかもしれない」との回答。今度はこちらが「エッ!林さんや清水さんが本当に来てくれるのか・・・?」である。こうなったらムスコの口を借りてこちらの「熱意」を伝えてもらうしかない。

会場であるが、これは私的別荘だが「非営利で一流の演奏を聴くことや若い音楽家を育てる為」の30〜40名が聴ける空間を有し、素晴らしいピアノがある指揮者のミドさんに「とにかく凄いJAZZの人を呼ぶから!」と頼み、快諾をいただく。日程に関しては「演奏者の都合を第一に!」と言って下さる。ライブ後の打ち上げも会場でOK頂く。

1ヶ月程のスケジュール調整時間の後「二人とも快諾してくれた!」との電話をムスコから受ける。「ただね、ちょっと困った。林さんも清水さんにも、お前も吹けよと言われちゃって・・・」。う〜む、こちらもちょっと困る。ムスコの為に企画したと思われたら嫌だし・・・。ミドさんに相談したら「やっとムスコさんの演奏が聴ける」と喜んでいるし、友人も「いいじゃん、そんなこと!ムスコの演奏も聴けるなんて丁度いい!」と、まるっきり関係ないよ!と言う。まあ、この日は、ムスコは東京で自分の仲間とライブをやろうかと計画中だったのを断念してであるし、そもそもムスコのツテで実現する話、ま、仕方ないか!

サックスの林栄一さんはそれこそ最高のJAZZミュージシャンである。ムスコなんぞ「最初の一音で涙が出た」という位である。ワタクシはかつて一度だけしか生では聴いていないのであるが、音色・テクニック・音量どれも最高のサックス奏者である。また殆ど毎日何処かのライブ・ハウスで吹いているという本物のJAZZミュージシャンなのである。

ピアノの清水くるみさんは「私はミヤザキハヤオが大嫌い!」の人で、かつてムスコが「うちの親父も大嫌いと言っている」と告げたところ直ぐに手紙を下さったユニークな人である。ついでに『アベ嫌い』も同様である。清水さんの『ZEK』という「レッドツェペリン」の曲をJAZZとして演奏するというトリオを長野市に聴きに行ったことがあるが、その繊細さと弾けるような大胆さがあの華奢な身体のどこから出てくるのだろうかとびっくりする演奏であった。またムスコのリーダーズ・バンドで弾いて下さった時には、ムスコが作曲した曲の情景が目に浮かぶ演奏に仕上げてくれたのはサスガであった。田舎の小さな神社の祭りの様子を描いた曲であるが、若い人が弾くと『賑やかな祭り』なのであるが、その裏にある田舎の小さな神社の『侘しさ』や『悲しさ』をきちんと表現してくれ、また冬の情景を描いた曲では『冬』の情景がはっきりと目に浮かぶのは、サスガなのであった。

今、ワタクシが聴きたい人のTop5に入るお二人なのである。わざわざ泊まりがけで来て下さることには感謝・感謝なのである。
ムスコによると「トーサン、他のプロの人まで俺も聴きに行きたいと言っているよ!」とのこと。

ここまでお膳立てしてから某JAZZ好きの会の会長さんに正式に話を持っていく。「会からは6万円までなら出す」と言うが、会に金なんぞあるわけない。どうせ最近何かで儲けた会長のポケットマネーに決まっている。前から「そりゃおかしい。善意は分かるが、そんなんじゃ続かない!」と言ってあるのに!
ナニ、入場料が出演料に満たなきゃワタクシが被りゃいいだけの話。本当に聴きたいかどうか、「熱意」だけの話じゃないか!
たまには田舎でも弾けたい!

と、まぁこの間には色々スッタモンダもあったのであるが、段々当日が近くなってくる。
小淵沢への出迎えから宿泊先(我が家)、打ち上げの用意(参加者各自の持ち寄り+ミドさんからの差し入れ)、東京からの切符の手配、駅弁の手配、前日から泊りがけで手伝ってくれる人=霧ヶ峰の葉っぱちゃんの足、チラシ作成=会長のコイケさん、会場内禁煙だがテラスはOKとのことで林さん専用?の灰皿の用意等々を決めたり手配したりする。

で、肝心のお客さんであるが、友人知人に声を掛ける。JAZZ大好き人・昔はジャズ喫茶よく行ったけれど、こちらに住んでからライブは聴いていない人・JAZZは時々聴くけれどライブは初めての人・JAZZは普段聴かないけれど生で一度聴いてみたかった人、などを中心に声を掛ける。純粋に聴いて楽しんでくれるような人に来て欲しい。JAZZ好きなんて言ったって「評論家」みたいなことばっかり言っている人には声をかけない!ちょっと歌えたり、ちょっと吹けたり、ちょっと弾けたりすると直ぐに自分はセミプロ級なんて勘違いしている人にも声をかけないのである。ミドさんの処に迷惑をかけそうな人にも声を掛けない!
非営利なんだし、これは言い出しっぺのオオイナル特権なのである。

で、厳選した我が家の友人・知人・ミドさん関係30数名程度に声を掛けたら、全員その場で来てくれると言う。某JAZZ好きの会約10名と、40数名全てワタクシの顔見知りで会場いっぱいの人数が来てくれることとなり、直ぐに満員・締め切りなのである。

後は当日に台風が来ないことと、林栄一さんがムスコとの待ち合わせ場所の新宿のホームに寝坊せずに来てくれるか?である。ムスコ「ちょっと心配。6日にピット・インで林さんに会えるから念を押しておくけど・・・」。うむ、ムスコに林さんの家まで迎えに行かせるか?
清水さんからは「あずさの往復切符はナントカ割引を使って用意しました・・・全身全霊で演奏を・・・」との丁寧なメールをいただく。

当日が近づくにつれ、打ち上げに参加しない人の車を出しやすい場所に駐めてもらい、とか、つり銭の500円玉を用意しておかねばとか、清水さんの好きな地キノコを採ってとか(今年は例年になくキノコの不作の年で・・・)。こういう企画を立てるのは初めてであるから慣れないことばかりで・・・

本当は自分の仕事が遅れていてすっかり尻に火がついているのだが・・・

 

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